動物にも心がある。そういう発言を聞いて、驚くことが度々あった。いや、わざわざ言うまでもないことだろう、そんな当たり前のこと。私はそう信じていた。しかし世の中には、動物には心がないと思っている人が、それなりにいるようだ。感情や心が人間だけのものと思うのは、人間以外の動物が人間の言葉を喋らないからだろうか。喜び、怒り、悲しみ、恐怖…。動物たちを少しでも観察すれば、彼らがどれ程豊かな感情を持ち、言語以外の方法でコミュニケーションをとっているか、すぐに分かると思うのだが。コンラート・ローレンツの「ソロモンの指輪」は、そんな動物たちの声で溢れている。子ども心にソロモンの指輪がもの凄く欲しかった。猫さまの下僕として、お腹が空いたという命令は直ぐに分かるようになったが、それ以外はまだまだか…。